ねじまき日記

京都在住の30代ゲイ。日常のあれこれを書こうかなと。

ポール・オースターと月と死亡記事と。

Paul Austerの追悼文を読む

あのアメリカ現代小説の作家であるポール・オースターが亡くなった。

小説だけでなく、映画、演劇といろんな分野で活躍した大ベテラン。

 

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代表作『ムーン・パレス』で、
主人公がエフィングの死亡記事を書くのを手伝うシーンがかなり印象的だったんだけれども、
まさかこんなに早くポールオースターの死を知ることになるとは・・・。*1

 

ポール・オースターといえばニューヨーク。

New York Timesの記事を2つ載せておきます。

(※下記リンクはどちらも全文読めます)

www.nytimes.com

“There’s a tendency among journalists to regard the work that puts you in the public eye for the first time as your best work,” he said in “A Life in Words.” “Take Lou Reed. He can’t stand ‘Walk on the Wild Side.’ This song is so famous, it followed him around all his life.”

“Even so,” he added, “I don’t think in terms of ‘best’ or ‘worst.’ Making art isn’t like competing in the Olympics, after all.”

 

ニューヨーク三部作が評価されすぎて、
こればかり注目されるのは、本人が嫌がっていたのは知らなかった。

ルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」に喩えているのも彼らしい。

 

個人的には『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』が特に好きで、
まさに今、それに似た形式の小説を書いていたりもする。

 

彼のアメリカ人の生き様がしっかり根付いた物語が、
ほんとに好きだったなと。

 

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もう一つの追悼文も。

www.nytimes.com

 

『フレンズ』のロスへの愛情を語っていたエピソードも良い。
(・・・いかにもあのコメディが好きそうだなと笑ってしまった)

 

息子さん(当時44歳)が亡くなっていたのも知らなかったけれど、
色々な苦労もされた人間だったんだなと。

 

 

最近、イスラエル・ガザ戦争に関するデモが起こり、
警察が弾圧している動画が話題になったのは、
ポール・オースターを輩出したコロンビア大学。

 

死の間際でいったい、ポールオースターは何を思っていたんだろう・・・?

 

たくさんの著作を残された大ベテランなので、
まだ読んでない本を読んでいきたい。

 

彼としてはとにかく、捜索が終わるまでじっとしていればいい。ニューヨークの新聞に死亡記事が掲載され、追悼式が開かれるだろう。それで終わりだ。そうなってしまえば、あとは好きなところに行ける。好きな人間になれるのだ。 
『ムーン・パレス』より

 

ムーンパレスでゆっくり休んでくれればと。

 

*1:こないだ邦訳も出たばかりだし

今月読んだマンガ振り返り(2024年4月分)

読んだ漫画まとめ

2024年の新年度から、読んだ漫画を日記ブログにまとめていくことにしました。

普段マンガを読む習慣がないので、4月もそんなに読めてないけれど、軽いまとめを。

 

 

ブルージャイアント モーメンタム

映画『ブルージャイアント』を見て興味を持っていたけれど、
原作を全て読む気にはなれないので、新しいニューヨーク編の一巻が最近出たときいて読んでみた。

「練習ってタダじゃね?」「練習って凄えな・・・!!」

あの店、やりがいしかねえ!!

ジャズ流しながら読める漫画ってなかなかないよね~
まだ序章って感じだけど悪くはなかった。

 

 

無敗の二人

comic-days.com

総合格闘技(MMA)マンガ、『オールラウンドダー廻』の作者、
遠藤浩輝さんが書いた最新作。

RIZIN効果のおかげか、
これ以外にも総合格闘技漫画がいくつも出ているみたいです。*1

第一話を読んでみたら『オールラウンドダー巡』よりさらに硬派なので、
格闘技やっている人にはほんと読んで欲しい作品。

 

 

路傍のフジイ (1・2巻)

Twitterで話題になっていたので思い切って読んでみた。

一見サエない会社員「藤井さん」。そんな不思議な主人公系の作品。

話が進むにつれて、意外な側面が見えてきて・・・という展開だけど、
このテーマで長く続けるの難しそうだけど、3巻はどうなるんだろう?

 

 

ある人

comic-action.com

つげ義春のパロディ的な作品。はてなブックマークでも話題になっていた作品。

トランスジェンダーの方が感じるであろう違和感を、ブラックユーモア交えてつげ式の世界観で和えたような物語。

これはほんとすごい、短いのに名作。
岡田索雲という作者さんも初めて知った。他の作品も読もうかな。

 

うみべのストーブ

俵万智さんがおすすめしていると聞いて読んでみた。
男女のおセンチな恋愛モノが多いので、個人的には合わなかったけれど、
「雪女の夏」と小説家の「海の底から」、『キッチン』ぽさのある「雪の街」
あたりの話は割と良かった。

 

・・・今月はこんな感じで。
五月は『違国日記』を読みたいなと。

 

マンガ全然詳しくないので、みなさんのおすすめの漫画をコメントでお待ちしてます。
実際読めるかどうかはわかりませんが、必ずお便りには目を通しますので!

 

今週のお題「名作」

nejimakinikki.hatenablog.com

 

3月は『ザ・キンクス』が良かった。

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*1:『レッドブルー』とか。

ウィリアム・ギブスンの創作の秘訣

『遺す言葉、その他の短篇』/ アイリーン・ガン

つい先日、図書館でアイリーン・ガンの『遺す言葉、その他の短篇』をかりて読んだ。

その中で、冒頭の一作「創作の秘訣」にウィリアム・ギブスン*1との会話が序盤に掲載されているんだけれど、妙に印象に残ったので備忘録がてら書いておこうかなと。

 

二週間後、シアトルの自宅で、わたしは電話に出た。ギブスンからだった。
「きみに創作の秘訣を言うのを忘れてた」と彼は言った。
「そうね」とわたしは言った。「創作の秘訣は何なの?」
強調のための一拍。
それから、「自分の作品に対して感じる非常に自然で適切な嫌悪に打ち勝つすべを学ぶことだよ」

それは、これまで人からもらったなかで、もっとも役に立つ創作の秘訣だった。 
『遺す言葉、その他の短篇』 P13より

 

当たり前だけど、ほんとに大切なこと。

ブログ書くときも、特に書き慣れてない人は心に刻むべきかと。

 

作品としては、

SFディストピアな「コンピュータ・フレンドリー」や、

特に表題作「遺す言葉」が ぐん、と心に残る作品なので、図書館などで見かけたらよんでみては。

*1:ニューロマンサーで有名なSF作家

楽天KoboのカラーEインク対応の電子書籍端末が出たけれど、案外欲しくないかも?

Kobo Libra Colour 

楽天の電子書籍端末に、カラー表示対応の新モデルが登場。
(Kobo Libra Colour および Kobo Clara Colour)

以前から、カラーEinkの液晶に興味があり、ずっとカラー対応を心待ちにしていたけれど、という話。

 

よくよく考えると、
自分が読むのは主に小説で、
色付きである必要があまりなかったりする。

 

漫画をたくさん読む人ならメリットあるかもしれないけれど、
カラー対応のマンガって、今の段階でどれぐらいあるんだろう??

 

今年の目標として、漫画をたくさん読む、ということを挙げているので、
カラー対応の海外コミックとか読んでみたかったりはするけれど。

nejimakinikki.hatenablog.com

 

 

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デモ動画をみると、
ハイライト(マーカー)機能が色分けできるのは魅力的だけれど、
「それってもうスマホやタブレットでよくない?」となってしまう。

 

電子書籍専用端末がタブレットに近づけば近づくほど、
電子書籍の良さが薄れてしまうというか。

 

Kindleのカラー対応の新しいキンドルがどれぐらいできるのかを見極めてから、
判断しようかなと。

 

楽天コボ、自分はあまり使ったことがないんだけれど、
たしか防水機能もKoboがキンドルに先行していたような。

日本企業の姿勢として世界の先をいくのは今の時代珍しくなってしまったので
そういうところは応援したいなと。

オチはないけどそんな感じで。

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ガルシアマルケスの遺作「出会いはいつも八月」と死後に著作物が出版されることについての議論

作家の意志と本の出版

ニューヨークタイムズで、世界的なコロンビアの作家
ガルシアマルケスの新作に関する記事が話題になっていた。

・Gabriel García Márquez Wanted to Destroy His Last Novel. It’s About to Be Published.

www.nytimes.com

 

要するに、
「亡くなった小説家が出版を望まなかった未完の小説を、勝手に出版してよいのか?」という話。

 

“He told me directly that the novel had to be destroyed,” said Gonzalo García Barcha, the author’s younger son.

息子は父であるガブリエル・ガルシア=マルケスから直接「これはぶっ壊さないといけない」と言われたそう。

 

なんだかんだ、
英語版『Until August』はすでに3月12日に発売されていて、
議論を巻き起こしているという流れ。

たとえそれが洗練されていないものだとしても、
未完の遺作が発売されることを望むたくさんの読者もいる。


ただ倫理的にどうなんだろう、と思ってしまう人も多いみたいで。
みなさんはどうお考えでしょう?

 

・Netflixのドラマ版『百年の孤独』について

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『においと香りの表現辞典』で気になった語句たち

匂いのワードをあつめた辞書

最近こんな本を図書館で借りた。

『においと香りの表現辞典』(神宮 英夫、 熊王 康宏 編集)

文字通り、色んなにおいに関する表現やことばを集めた辞書で、

寝る前にパラパラ読んでいたら、
なかなか面白かったので印象に残ったワードをいくつか紹介。

 

インコから水仙まで

箇条書きで自分の備忘録がてら書いていきます。

 

馥郁とした 【ふくいくとした】
→香木や、蕎麦や梅の花などの香りが宙に漂っている表現らしい。

 

草様の 【くさようの】
→草のような、みたいな表現は言えそうだけど「くさようの」はちょっとプロっぽくていつか使ってみたい(たぶん一生使わない)

 

インコ
セキセイインコ臭というワードがあるらしい。
七面鳥とかなら、学校の臭い織の中のにおいを嗅いだことがあるけれど、
インコは他の鳥とは違う香ばしさがあるんでしょうか?

実際にコーヒーやふりかけの香りで使われている表現らしく、
ちょっとインコの匂いかでみたくなってきた。

 

苔のにおいを「モッシー」と表現するらしい。ちょっとかわいい。

例:ミュゲとガーデニアの花がかわらぬ優雅さを、モッシーの香りが個性を表現し・・・

 

ピラジン、ピリジン,フゼア、オレフィンやら、
化学系の語句はさすがに初めて聞くものばかり。

いやー嗅覚の世界は奥が深い。

たまにはこういう本を読むと面白いよね、という話でした。

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ソムリエ試験に奮闘する男たちの物語

 

※インコのにおいについて、続けて書いてます。

sizu.me

 

ブッカー賞公式ニュースレターがSubstackにあるのを知った。

2024年のBooker賞

Substackを漁っていると、
ブッカー賞の公式ニュースレターが存在するのを知った。

 

受賞した本の抜粋や読書ガイドをいい感じにまとめてくれているので、
洋書好きの方におすすめ。

 

・2024年のブッカー賞ロングリスト

thebookerprizes.substack.com

 

・カズオイシグロの「日の名残り」特集

thebookerprizes.substack.com

 

・ブッカー賞をとった古典小説特集

thebookerprizes.substack.com

 

・ブッカー賞受賞作(2024年)の読書ガイド

thebookerprizes.com

 

公式サイトもけっこう面白いな、と思いながら睡眠時間を削る祝日の夜でした。

 

 

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